Old Single Records
Part 3

Tinkabelles Fairydust(1968)
A : Twenty Ten
B : Walking My Baby
 今でも知られている一曲ではないだろうか。
 単に「フェアリーダスト」と呼ばれていたが、正式なバンド名は“Tinkabelles Fairydust”。「ピーターパン」に出てくる「ティンカベル」の体からまき散らされるあの「キラキラ」のことである。
 原題は“Twenty Ten”つまり「2010年」である。邦題は、原題とはまるで異なった「誓いのフーガ」になっている。バッハのフーガをテーマにしていること、歌詞が「2010年になっても、いっしょに歩み続けているだろうか」とか「君は僕を選んでくれているだろうか」といった内容であることから、誰かが考えたのだろう。映画でもよくある手法である。
 当時はクラッシック音楽とロックとの融合だなどと言われていたが、そんなことはどうでもいいだろう。美しいハーモニーが素敵な一曲である。
 ライナーノーツは、亀淵昭伸。深夜放送世代にとってはなつかしい名前である。
Boots Walker(1969)
A : Geraldine
B : No One Knows
 たぶん、No one knows his name.
 ラジオで聴いて気に入って買った一枚。哀感をおびたメロディー(すでにこの頃から哀感好き)と歌詞に惹かれた。
Safe in my room I see the world outside the window
I hear the wind, it's whispering your name
And I dream, life is no longer what it once seemed
Once you said that you loved me
And now you're so far away
 といったわかりやすい歌詞である。
 もしかしたら聴いただけで初めて意味がわかった歌で、うれしくなって買ったのかもしれない。
 おもしろいことに、このレコードには「推薦文」が載っている。湯川れい子は、「メロディ、バック・コーラスがきれいな所が一番いいところ、スタイルが古く強いポイントがないのが弱点。イントロのベースと風の音を強く出せばもっといいのに」と書いている。
 ずっと後になってJunchanが薫陶を受けることになる平川先生は、「歌いやすいのが唯一の利点、ちょっと飽きてしまうな。和製グループに歌って欲しい曲だ」と書いている。
 「推薦文」が「推薦文」ではないのがおもしろい。結局、あまりヒットしそうにないっていうことである。実際そうだった。でも、私は好きである。
 ちなみに、愛読していた「ミュージック・ライフ」編集長の星加女史も推薦文を書いているが、業界紙の編集長なので当然「ほめている」。
The Turtles(1970)
A : Happy Together
B : We'll Meet Again
 これもよく知られた一曲だろう。昨今、私たちに「おなじみ」の曲がCMで使われることが多いが、“Happy Together”を使ったCMは見たことがない。この美しいハーモニーの曲は、どんなCMにも使えそうに思うのだが…
 音楽ジャンルとしては、「フォーク・ロック」ということになるのだろうか。「フォーク・ロック」で検索すると、ボブ・ディランだのザ・バンドだの、S&G、ニール・ヤングといった名前が出てくる。たぶん、「フォークをやってたのがロックをやっている」という意味なのだろう。ポピュラー・ミュージックの発展過程で生まれた音楽ジャンルと言っていい。ロッカーがフォークをやれば、「ロック・フォーク」だし、演歌歌手がロックをやれば「演歌・ロック」になる。
 今回の3枚は、前回の続きみたいなもの。年代順にならべるつもりはなかったのだが、そうなってしまった。次回以降は、まったく気まぐれで取り上げるつもりである。

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