Belle's Life and Our Lives(2)

ベルのことを知っている人たちのために
たぶん幸せに生きた猫ベルのために
そして私たち自身のために

 浅い眠りの中で、鼻先に冷たいものを感じた。シャーッシャッと布をこする音・・・。薄目を開けた目に飛び込んできたのは、べる、君でした。かわいかった〜〜〜! “布団に入れてよ”とせがんで毛布の中にずるずる鼻を突っ込んで入っていくと、上手に私の腕を枕に添い寝してくれたっけ。それからも、寒くなると寝室のドアーに飛びついてぶつかって、“入れて、いれて〜!”って鳴いてたねぇ。

 お姉ちゃん・ふうと、べるのお腹にしこりを発見してから、最初に手術をしたのは、君でした。お姉ちゃんの手術の時に、べるの腫瘍は良性だったと言われていたから、またしこりが出来たときガンだと言われて、びっくり。前の手術から半年しか経っていなかったし、良くなるものと信じて、再手術はすぐに決断。でも、その獣医さんの対応に不安?いえ不信感を持ったので、セカンドオピニオンを聞こうとM医院を訪ねました。そこでもっと驚かされたのは、乳腺腫は乳腺を全摘出しなければいけない、いけなかったのだということでした。あぁ、最初の医者を間違えてしまったのです。べるのガンは筋肉にまで達しているであろうと言われても、あの細い体にあの大きなしこりをぶら下げて歩く姿はとても気の毒で、やはり手術をしようと二人で決めたのでした。

 4/13手術、翌日お見舞いに行ったとき、体の半分くらいの大きさのカラーを首に巻かれ、重そうに首を垂れ、声をかけても悲しそうな目を向けるだけだった べる。16日退院。4日後抜糸。「年の割に傷の治りが早い」と言われたけれど、それも良し悪しで、体内に漿液が溜まっているからと閉じたところに再び管を入れられ、6月になってもカラーが外れることはありませんでした。お姉ちゃん達とも隔離され、寂しかったことでしょう。傷口が閉じ、カラーから解放されたのは、6/27。あぁ、よかったとホッとしたのも束の間。ほんとうに束の間でした。30日朝7:00過ぎ、寝ようとしていた私の目の前にポツポツと白っぽい跡があります、べるの通ったところに。べるのお腹に2ミリ位の穴が開いていて、そこから乳液状のものが垂れていました。お腹を押すと、そのクリーム状のものはどんどん出てきます。パニック! 病院が開いていないのを承知で電話をすると留守電で、暫くして先生からお電話をいただきました。有り難かったです。心配ないから、こういう処置をして来院しなさいと言うことで、朝一で伺い、体内の悪いものを消毒するために、毎日洗浄に行くことになりました。キャリーに泣き叫ぶべるを入れて通うのは、精神的にも辛かったです。そして、7/8には、「きりがないですねぇ」と言われ、自宅で洗浄することになりました。その頃には、ふう や ある とも一緒に生活できるようになり、姉妹で一緒に写真も撮りました。先生には内緒で、アガリクスを飲ませたり、ナタマメエキスを患部に貼ったりして、べるも一所懸命食べて頑張り、8/13を迎えることができました。べるが我が家にやって来た日から13年経ったのです。それから数日してからだったでしょうか、私の上で寝るのが好きだった べるが、バスマットのところを生活拠点にし始めました。食欲が無くなって、スポイトでミルクをやってもあまり飲まなくなって・・・。そして、その日はやって来てしまいました。お風呂場の前のマットで、荒い息をしていた べる。ぴくん としてから、あのピピンクの肉球は、冷たく色薄れていったのです。その一日のうちに、何回 べると私たちは呼んだことでしょう。
 私たちはべるが治るものと思い、出来るだけのことをしてあげたいという思いで手術をしたのだけれど、それは人間の自己満足で、べる君には辛い思いをさせただけなのではなかったのかと考えると、悲しくてたまりません。痛かったよねぇ、寒かったよねぇ、怖かったよねぇ・・・ごめんね、ごめんね、ごめんね。いくら謝っても悲しみは消えていかないの。

 べる君は、ほんとに人なつっこい子だったね。お姉ちゃんは孤高の猫になちゃったし、妹は人見知りの臆病猫なのに、君だけは、生徒にもなついて、みんなに なでなで され、かわいいねぇ、目が大きくてきれいだねぇと賞賛を一心に受けていたっけ。28センチもあったなが〜いシッポを、よくドアに挟まれたり、踏まれたりしたね。うちに来てから一年以上もちゃんと鳴けなくて、アァ〜アァ〜って、猫なんだから、ちゃんと鳴きなさい!って。お姉ちゃんには、ホントに可愛がってもらったよね。君たちの猫ボクシングは、見物でした。そうそう、蚤が大量発生したとき、一ヶ月以上も毎日お風呂に入ったっけ。君は暴れるから、私は傷だらけで痛かったよ。皮膚病にもなったね。顎の毛をを剃られちゃって可哀想だったから、あのときの写真はないよ。発情すればうるさく鳴くし、ドアのノブをカチャカチャ叩くし、ベッドの下に這入っては私たちを困らせ、学ばない猫だ、馬鹿だチョンだと言われていた君。自分のシッポを追い回して、グルグルしてた。 べるみ とか 女の子なのに べるお とか呼ばれたりもしたね。毛並みはよかったけど、ダブルコートじゃなかったから寒がりで、冬になるとオイルファンヒーターの上やテレビの上、終いにはコタツの中で煮えてたっけ。スリムでなが〜い肢体は猫の鑑。リラックスすれば、どこででも長〜くなって眠ってる。猫だから体が柔らかいのは当たり前だけど、逆立ちの練習をさせられても、ドラム叩きの真似事をさせられても、為されるがまま。 気持ちのいいこと大〜好き。胡座をかいた私の脚の間で寝るのがすきだったよね。自分が座れなさそうだと、ねぇ って顔するし、寝心地が悪いと、寝にくいんだけど・・・って円らな瞳で見上げる。ほんとに、かわいかった。

 そうそう、君はうちでとても重要な役割を果たしていたの。ある が ふう を襲ったりして、仲が悪かった時期があったけど、ちゃんと ある の相手をしてくれたよね、追いかけっことかして。この数年、君たち三匹がみんな仲良くできたのは、べる君のおかげです。もちろん私たちも十分和ませてもらいました。ありがと! 君もうちに来て、お姉ちゃんと妹に恵まれて? よかったね。
 君は今でも私たちと10メートルと離れていない所にいるんでしょ。みんな一緒にいるから、ねっ!
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