ハングルのことわざをのぞく(十七)

 都市では3・4月になると待ちかねたように結婚式が行われるようになる。『野外撮影』の一団をよく見かけるようになるのもこの頃からだ。『野外撮影』とは、結婚記念写真の撮影会のことである。しかし、これに至るまでがなかなか・・・。今回は、出会い編。
 

 最も多い男女の出会いの場は、大学。それまでは、勉強一筋で恋愛どころではない。やっと入った大学のサークル活動や合コンで、異性と知り合うことになる。順調に交際をスタートさせても、すぐ大きな難関が待ち受けている。韓国男子の義務、‘兵役’である。男子学生の多くは、2・3年生ぐらいから2年あまりの軍隊生活に入る。そのため、恋人たちは強制的に遠距離恋愛の状態になるわけだ。距離と時間は残酷なもので、この困難を乗り越え恋人として付き合っていく人たちは1%とも言われる。彼氏の方は、入隊後、生活環境の変化と共に関心事や考え方・性格までも少しずつ変わってしまうようである。彼女の方は、見送った彼と入れ替わりのように復学してくる、逞しくなった先輩に乗り換えてしまったりするのだそうだ。
 大学での出会いがなかった人たちは、社会人になってからも合コンを重ねることになる。また、‘紹介’で付き合い始める場合もある。勿論、結婚仲介業も存在する。この種の会社は800社位あるという。結婚情報会社に申し込む人は、少しでも条件のいい人を見つけたいという明確な目的があり、相手を選ぶ基準もかなり露骨で、男性は容姿を、女性は経済力を最も重視する傾向があるそうだ。もちろん、そういう人がすべてではないだろうが・・・。また、最近流行なのは、やはりインターネットを通じた出会いである。

 カップルになると、いろいろなイベントが待っている。付き合い始めてちょうど100日目は特別な日で、お互いプレゼントを交換し(男性が花束を贈る習慣もある)、カップルリングをするようになる。友達からは、100ウォン硬貨が記念に贈られる。200日・300日と記念日は続く。モノを贈り合って、付き合いのプロセスが着実に進んでいることを表現していくのだ。付き合いが長く続くかどうかは、それぞれの友人の評価にも係っている。韓国の恋人は、‘おそろ’が大好き。同じ服を着たり、カップルフォン(カップル同志の電話代が安い電話)を持ったり・・・。電話は欠かせないアイテムで、朝に昼に夕に夜に相手の声を聞くためにコールするといった具合だ。

 そのうち、自然とそれぞれの家族・両親に紹介され、存在を認知されるようになる。付き合っている相手をすんなり受け入れる場合もあるが、たいていは、背が低い・容姿が悪い・学歴が合わない・経済力がないなど、何かと細かくチェックしてはプレッシャーをかけ、再考を促すことが多い。(ちなみに、同姓同本ー祖先の共通する親族ーの婚姻は、1997まで法律で禁じられていた) 韓国では、息子に対する母親の影響がとても強い。息子の相手が気に入らなければ、激しく泣き叫び、あるいは寝込んだりと、あらゆる手段を使って結婚に反対するとか。

 結婚の意志が固まると、お互いの両親を招いて食事会を開く。この場で、結婚式の日取りなどを相談する。ふつう、結婚後の住居は男性側が、家具・家電製品などは女性側が準備することになる。これが無事に済めばよいのだが、お互いの両親の理想が異なったりしていると、すぐには合意に達しないこともある。『野外撮影』までの道程は長い。
                                 つづく

*わらじも自分の寸法のモノがよい

*ガラスと小娘はこわれやすい

*一晩寝ても生娘じゃない

*母親が半ば仲人になってこそ娘も片づけられる      

*娘が三人おれば門を開け放して寝る 

*花嫁の根幹は紅の下衣を着けているときに据えよと言う

*大麦三斗あったら入り婿暮らしをするものか

*婿は百年の客

*婿も半分息子                          

2005-04-24 UP

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