Our Family 1

『CATS ON THE ROOF--屋根の上のネコたち』(監修/審査/塩田丸男、三洋食品株式会社発行、平成2年11月)に掲載されている「うちの猫は誰のねこ?」を、二度に分けて転載します(個人名のみ手を加えています)。

 その子猫を拾ってきたのは、塾を経営していて夜の遅い我が家にしては朝早くに起きた私が、間違って局留めにされてしまっていた郵便を取りに行った日でした。

 行きがけに道ばたで鳴いているのに気づいて自転車を止めてはみたものの、先を急いでまた走り出しました。(帰りに、もし、まだあそこに居たら・・・)と思いながら。

 いた、いた。ニーニーと声の限りに鳴いて・・・。近づく私を恐がりもせず、いえ、怖くて立ち竦んでか、動かずに鳴いているのです。三毛猫でした。話しかけながらそっと両手で抱くと、それはもう猫ではなくて、声を出す20センチ位の毛の毬でした。
 大急ぎで家に辿りついてミルクを出してやると、音もたてずになめ尽くして、用意してあげた箱の中で眠ってしまいました。

 それから数日間は、うちに来る生徒達に、肉球がピンクのポワポアで、躾もしていないのにトイレがちゃんとできる美形の三毛猫を自慢していたのですが、話をしているうちにある不安が脳裏をかすめ膨らんでいったのです。
肉球が柔らかいということは外で育ったんじゃないということだし、トイレができるという事実を考え合わせると、この猫はどこかの飼い猫かもしれない。もしどこかの家で飼われていた猫だったら、飼い主はどんなに心配していることでしょう。

さあ、猫のルーツ探しです。

MAIN MENU
NEXT

copyright(c) 2004 Junko Abe All Rights Reserved