Our Family 2

 はじめに子猫を拾った道にただ一件あるお店に尋ねてみました。けれども思った通り、子猫のことは知らず、「お宅でかわいがってあげればいいじゃないの」と言われました。確かにこの辺はアパートが多く、猫を飼える家が沢山あるとは思えません。
 いったん家に戻って、うちの子にしてしまおうと決めたのですが、やはり気になります。

 そこでまた聞き込みをしていると、ある日、銀髪の美しいおばあさんがこう言うのです。「ああ、あの猫ね。ありゃ、ほら、100メートル位先のHさんちの猫の子だよ。三毛だろ? メスかい? Hさんちの猫で残念だね」。知っている人は知っているものだなあと感心しながらも、半信半疑でそのHさんを訪ねると、「あら、そう。うちの猫じゃなくてノラなんだけどね。狭い所にいたのを親が住み替えをする時に、すばしっこいあの子だけ逃げたんだよ」。
 親猫によろしく伝えてくれるようにHさんに頼むと、私はウキウキして家に帰りました。(あの子はうちの猫よ!!)今では、こんなにかわいい猫を見つけるきっかけになった誤配された郵便に感謝しています。

 名前は“ふう”。哲学者フッサールやフーコーのF、主人の名前のF、誰?というWHO、それに風のように自由にという気持ちを込めて、ふふふと笑う“ふう”。外猫を飼ったことはあるけれど、家の中で暮らすのははじめての私達。知らないことがたくさんあります。人間のミルクは飲ませてはいけないとか、予防接種をしなくてはいけないとか…、子供もった親のような気持ちです。 

ふう、おうちの中で、ドドド、ダダダと走り回って、いっぱい食べて、元気に育ってね。

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