ハングルのことわざをのぞく(十三)

 セヘ ボン マニ パドゥシプシオ (パドゥセヨ) 新年の挨拶である。「新しい年の福をお受け取り下さい」という意味で、年末にも年始にも使われる。元旦(正月)は ソル。陰陽暦それぞれに元旦があり、新正(陽暦元旦)は2日間、旧正(陰暦元旦)は3日間が休日となる。今でも、旧暦で祝う人が多いようだ。
 目上の人に、今年も健康でいて下さいとお辞儀と一緒に願いを込めて言葉を贈る新年のご挨拶がセベムーナン。それが済むと、「一所懸命勉強しなさい」「早く結婚しなさい」と一人一人にお言葉をかけていただき、セベトン(新年+銭=お年玉)を頂戴する。それが韓国の正月だ。

 “ユンノリ”という双六に似た伝統的な遊びがある。2組に分かれて、ゲーム盤の上に置いた4つの駒を廻して早くあがった方が勝ちになる。サイコロの代わりに“ユッ”と呼ばれる木の枝を切った形のものを4つ使い、これを投げて、落ちたときの裏表で点数を決める。文房具店でも売っているようなポピュラーな遊びだそうだ。日本の正月にする遊びは? と聞かれたら、羽根突き、たこ揚げ、福笑いと答えるが、どれだけの家庭でやっているのか最早わからないように、“ユンノリ”がどこでも楽しまれているかは、私には知る由もない。

 代表的な正月料理は、“トックク”(餅+スープ=雑煮)。餅はうるち米で作られたもので、細長い棒状に練ったものを斜めに薄く切り、牛や鶏でダシを取ったスープに加える。正月には毎年食べるので、年齢を尋ねる際、「トックを何杯食べたか?」と聞いたりする。地方によってダシの取り方に特徴があり、京幾道利川ではキムチと豚肉の餃子を入れるのが定番だそうだ。ト(餅)は正月に限らず、冠婚葬祭には欠かせないもので、種類も沢山ある。楽園洞は、貴族屋敷御用達の商人や職人の多い町であったが、今でもこの界隈は“餅と韓菓の街”として、一般庶民たちにも認識されている。
 めでたい席に欠かせない料理が “チャプチュ”(雑菜)。春雨と野菜・肉をいっしょに炒める。新宿のあるお店では、ヨン様が注文した!ということで、一番人気のメニューになっているそうだ。
 ポッサムキムチ、神仙炉(シンソルロ)、九節板(クジョルパン)などの宮廷料理や接待料理もあるのだが、食べたことがないので、今は語れない。残念。

 韓国の祝祭日をご紹介しておく。

1月1日     新正     正月
旧暦1月1日   民族の日   旧正月
3月1日     三一節    1913.3,1に始まった反日独立運動を記念した日
4月5日     植木日    国土緑化のための日
旧暦4月8日   釈迦誕辰日  釈迦が生まれた日
5月5日     子供の日   子供の日
6月6日     顕忠日    国家防衛のために犠牲になった人を奉る日
7月17日    制憲節    1948年の憲法公布を記念する日
8月15日    光復節    1945年に日本の植民地支配から解放されたことを記念する日
旧8月15日   秋夕     日本のお盆と秋分の日を会わせたような祝日
10月3日    開天節    漢民族の始祖,檀君が紀元前1933年に国を興したとされる記念日
12月25日   聖誕節    クリスマス


*1・2月に甕が割れる

*実になる花は3月の初めからわかる

*出来の悪いキノコが3月から生える

*食べられない草が5月にやっと出る

*バッタも5・6月が盛り

*5・6月の夕立は牛のせを挟んでせりあう

*5・6月の暑さには牝牛の角がもろく抜ける

*5・6月の風邪は犬もひかない

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