ハングルのことわざをのぞく(七)

 ジェンキンズさんの娘さんが、「お酒を飲んだりタバコを吸う人は嫌」と言っていたが、ビールは構わないらしい。ビールはお酒ではないのだろうか。


 まず、お酒の席のマナーを書いておこう。年上の人と同席した場合は要注意。両手で注いで、両手で受けること。飲んでいるのが見えないよう口元を隠して、顔を横に向けて飲むこと。ちなみに喫煙は、年配者の前では御法度だ。


 さて、お酒の話をするのに外せないのが、韓国流カクテル。カクテルといえば、ブラッディーマリー、スクリュードライバー、ヴァイオレットフィズ・・・とおしゃれな品名が並ぶところだが、このカクテルは、“爆弾”。なみなみとビールが注がれたグラスの中に、焼酎(またはウィスキー)を入れたショットグラスを爆弾のように落とす。だれでもがへべれけになりぶっ倒れるから“爆弾”と命名されたともいうこのカクテルは、軍隊の発案と聞いた。ビールを普通にグラスに注いで焼酎を数滴垂らすという、飲めない人用の“爆弾”もある。やはり、ビールはお酒のうちには入らないらしい。

 韓国の焼酎のアルコール度数は25%。日本のものに比べると、甘いらしい。辛い韓国料理には、合っているのかもしれない。最近でこそ、マイルド志向の新製品が発売されるようになり、若者向けの居酒屋で、レモン焼酎やチェリー焼酎が出されるようになったらしいが、焼酎を湯や水、ましてジュースと混ぜて飲むなどということは、以前にはなかったのだそうだ。そんな韓国で最も知られているのが、“眞露”チルロ。ガマがえる印の二合瓶一本が、韓国男性に適量だといわれている。

 酒席について、「とりあえず、ビール」はあり得ない。焼酎の一気飲みだ。お酌をする方は杯が空くのを待っているし、される方は待たせては悪いと、一気に飲み干すことになる。そして杯を交わす。一つの杯の使い回しだ。拒否すれば、けんかを売るようなもの。生理的抵抗感がある人も、飲めない人もいるだろうに。新入生歓迎コンパでの急性アルコール中毒による死亡事故も、後を絶たないと本で読んだ。

 韓国の方とお近づきになりたいとは思うが、こういう席は、正直言って、ご遠慮申し上げたい。


*振る舞い酒に、酒習う

*死んでも三杯の酒

*酒客が清濁を選り好みしようか

*半杯の酒に涙が出、一杯の酒に笑いが出る

*少し飲めば薬酒、多く飲めば乱酔の酒

*草むらの雉は犬が追い出し、五臓の言葉は酒が追い出す

*粥は死んでも食べられないし、飯は忙しくて食べられないし

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