ハングルのことわざをのぞく(九)

 オリンピックが終わった。韓国は、テルンでの誓い通り、いや、それを上回るナンバー9に入った。メダルを30個獲得。そのうちの10個が、女子が取ったものだ。韓国社会が民主化される中、女性省を設けた盧大統領も大喜びだろう。


 パルチャ セン サラム (四柱によって決まる運の悪い人=不幸な人)という言葉があるが、これは女性のみに使われる。男性は、困難に遭ってもそれがチャンスにもなると考えられるため、この言葉はあてられない。儒教が基盤にある社会で、「夫婦別あり」の教えの下、女性が長いあいだ虐げられてきたことが分かる言葉の一つである。

 例えば、パルチャ セン サラムの彼氏が何かの事故に遭えば、それはモチロン彼女のせいになる。そんな女性が嫁になど来たら、大変。家に不幸が起ころうものなら、ぜ〜んぶ嫁のせい。理由・原因を合理的に考える必要はない。有無をいわせず、不幸を呼ぶ運命を持った、その女が悪いということにしてしまうわけだ。

 だが、このパルチャ セン サラム(運 悪い 人)の‘セン’(悪い)というのは、おもしろいことに、他の語と組み合わせて使うと‘強い’という意味なのだ。(力が強い、風・火などの勢いが強い・激しい、気が強い)。女性にこの言葉を使うのは、‘様々な逆境にあっても、自分の運命を自分で切り開いてきた運の強い女性’ということになるのかもしれない。


 さて、ここに10代〜80代の女性像を並べる。

  10代 顔が可愛いのに勉強ができる女

  20代 整形して美人なのに、整形したことが誰にも分からない女

  30代 さんざん遊んだ挙げ句に、いいところに嫁に行き幸せな結婚生活をしている女

  40代 いくら食べても下腹が出ないで、若い時のスタイルを維持している女

  50代 自分は毎日ゴルフをしているのに、子供が全員ソウル大学に入った女

  60代 夫が莫大な財産を残して死んだ女

  70代 性格が決して良くないのに、孫たちに尊敬されている女

  80代 たいして心がけが良かったわけではないのに、死んで天国に行った女


 これは、ソウル女性節である。(ハングル講座テキスト2001.6)

男性が茶碗などを叩きながら歌う、酒の席で徐々に練り上げられてできた世代別「小憎らしい女」ということだ。同席する女性が、項目のどれか一つでも該当すれば、‘死ねぇ〜’とか‘地獄へ行けぇ!’と、酒の肴にされて笑われることになる。

 しかし、これこそ‘運の良い女性’ではないか。女性は強い。


*女の午年生まれは運勢が不吉

*女のかかわらぬ殺人はない

*千丈の水の中は分かっても、女の心の中は分からぬ

*年頃の醜い女はいない

*女の顔は目の眼鏡

*匙一束、数えられぬ人が、生計が上手だ

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